2018年3月8日木曜日

棋譜を残した方がいい3つの理由


はい、皆さんこんにちは。

囲碁講師の坂本亨秀( さかもとあきひで )です。

さて、今回は棋譜についてお話したいと思いますが、
そもそも皆さん、棋譜って書いた事ありますか?

ひと昔前は、自分の打った碁は
帰って研究したり、強い人に検討してもらいために
毎回碁罫紙に書き留めて見返したものですが、
最近はそういう交流が減ったのか、
あまり棋譜を書いている光景を見なくなりました。

あるいはネット碁の場合、自動で棋譜が残るため
わざわざ自分で書こうと思わないのかもしれません。

しかし私個人としては、やはり棋譜というのは
残しておいた方がいいと思いますし
棋力向上には欠かせないものだと思います。

というわけで、今回は
棋譜を残した方がいい3つの理由
を紹介していきましょう。



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その1
後から検討できる

はい。これはもう棋譜を残す上で
一番の効果と言えるでしょう。
やはり、打った碁を振り返らず
打ち放しにするばかりでは、なかなか上達しません。
自分で家で検討したり、
あるいは強い人にみてもらったり
自分の良い所・悪い所を顧みるのは
一番効率のいい勉強法です。

ネット碁で自動で残る棋譜もいいのですが
やはり人と向かいあって打った碁も残してもらいたい。
もっと言えば、大会で打った碁を残してほしい。

大会では、自分の実力ももちろん
精神状態も如実に盤面に現れます。
いつも以上に固くなってしまったり、
逆に勝ちを急いで薄く打ってしまったりと、
大会になると普段通り打てなくなるというのは
よくあることです。

なので、そういった盤外の情報も含めて
自分に必要な要素を見つけ出すために
ネット碁だけでなく、
実際に打った碁を見直すことをオススメします。


その2
石の流れを意識できるようになる

よく初級者の方が
「 強い人が100手以上覚えているのは
  相当記憶力がいいんでしょうね 」
と言われることがあるのですが、
実は全然そんな事ありません。

むしろ、記憶力だけで言えば
昨日の晩御飯の献立すらあやしいレベルです。
※個人差はあります。

では、なぜ長い手順も覚えているのかというと
それは「 石の流れ 」を覚えているのです。
「 石の流れ 」というのは
こう打ったから次はこう。だからこう打つ
といった「 着手の前後関係 」の事です。

例えば、下図
 
右上のツケヒキ定石は一連の流れですが、
ここで白は12と高く構えました。
左上に相手の石がある場合
黒13の位置が急所になるので、
白Aと低く構えるのが普通です。
黒は白が高く構えたので当然13の位置に迫ります。

その後、白は上辺を手抜きして
14と三連星に構えました。
黒は手を抜かれたので15と追い打ちで
打ち込んでいきます。
白は打ち込まれたので16~20まで、石を繋げながら
三連星をバックに中央に頭を出していきました。

こんな具合に、囲碁にはすべて
こう打たれたから、こう打った
という風に理由があり、意味があります。


打ち碁を並べられる人は、
ただ「 どこに打った 」というのを
暗記しているのではなく、
こういった石の関連性を覚えているから
100手以上もの手順を再現できるのです。

「 石の流れ 」を意識するというのは
棋力向上にとってとても大事な事です。

ただなんとなく打っているのと
一つ一つの手に意味を持って打っているのでは
上達の速度が全然違います。

そして「 棋譜を書く 」という作業は
その「 石の関連性 」を意識するのに
とてもいい訓練になります。

棋譜を書く時に、忘れた手順を
必死に思い出すうちに
「 あ、そうそう。こう打ったからこうなったんだ! 」
自然と前後関係を意識するようになります。

そうする事によって、
対局中も着手の意味を意識するようになり
「 こう打ったらこうなるから、こう打ってみよう 」
というような工夫にも繋がるのです。

余談ですが、
上級者との長手数よりも
初級者との短手数の方が、覚えにくかったりします。
上級者は打った手に意味がありますが、
初級者は特に意味もなくあらぬ場所に打ったりするので
前後の関連性がなく、どこに打ったか覚えにくいのです。
それでも局後の検討の為になんとか手順を覚えるのは
囲碁講師あるあるです。



その3
数年後、見直してみる

さて、これが今回
この記事を書く動機になったお話です。

私は中学生までプロ志望だったので
級位者から低段者の頃まで、
プロの先生に自分の碁を検討してもらう為に
生徒同士で打った碁や、大会で打った碁を
毎回棋譜に残していました。

数年前に、なんとなくその棋譜を見直してみると
まあなんとも酷い内容でした(笑)

それでも、当時の自分なりに
勝つために必死になって考えて打っていたのが伝わり
「 なんだかんだいって頑張ってたんだなぁ 」
と我ながら微笑ましい気持ちになりました。

そしてつい先日、同じようにふと昔の碁を見てみたくなりました。
布石の研究に行き詰り、ほんの気晴らしのつもりでした。
ところが、どこを探してもない。
目ぼしいところは全て探しましたが、
どうも前回の引っ越しの時に処分してしまったみたいです。

私は、仕方ないな、と思い反面
とても寂しいような気持ちになりました。
碁の勉強に行き詰った私は
昔の自分の碁をみて、強くなろうとする気持ち、を
思い出そうとしていたんだと思います。

勝負事なんやから、思い出なんていらん。
という方もいらっしゃるでしょうが
私にとっては、なんだが
アルバムを見ているような気持ちになって
今では「 もったいないことをしたな 」
という気持ちでいっぱいです。

あなたが碁を打っている時、
それは自分で思っている以上に一生懸命で
必死に頑張っているのかもしれません。
棋譜というのは、それをそのまま残してくれるものです。
頑張った記憶も、勝って喜んだ事も、負けて悔しかった事も
すべてその棋譜に詰まっています。

時には、そんな昔の稚拙な碁を見返してみるのも
悪くないんじゃないでしょうか。
さて、如何でしたか。
何はともあれ、棋譜を残していて
損をすることは決してありません。


最近はネットで碁罫紙を買うこともできますし
携帯の棋譜アプリもたくさんあります。

ぜひ、ご活用いただければと思います。


囲碁講師 坂本亨秀


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